Grokの音声会話モデル「Grok Voice 3.0」が10月14日に公開された。アプリに声で話せるAIを組み込む、開発者向けの「Voice Agent API」で利用でき、料金は従来と同じ。返事の速さに加えて、話す順番や途中の言い直しへの対応を磨こうとしているのが、今回の見どころだ。公式発表

声が流暢でも、こちらが訂正したいときに長い説明を続けられたら、会話はしんどい。音声AIに求めたいのは、よくしゃべることだけではない。人の話を、途中でも聞いてくれることだ。

「18時じゃなくて19時」。言い直しても話が続くか

たとえば、予約の窓口でこんな会話をする場面を考えてみよう。

「金曜日の18時に、2人でお願いします」

AIが案内を始めたところで、予定を思い出す。

「ごめん、18時じゃなくて19時で」

ここで最初から全部言い直させられるのか。それとも、人数や曜日はそのままに、時間だけを直して話が続くのか。小さな違いに見えて、毎日使うなら気になるところだ。

予約の時刻を途中で訂正する、説明用の会話例です。Grok Voice 3.0の実測・実アプリ画面ではありません。

予約の時刻を途中で訂正する、説明用の会話例です。Grok Voice 3.0の実測・実アプリ画面ではありません。

Grok Voice 3.0の開発元SpaceXSIは、短い間や話者交代、割り込みへの対応を測る「Full Duplex Bench」の値を、旧2.0の95.1%から97.0%へ高めたと発表している。また、応答の遅延は1秒未満とうたう。いずれも同社の発表値で、この予約例を試した結果や、どんな会話でも成功する割合ではない。発表の比較表

私がこの進化にひかれるのは、AIの話し方が人間に近づくからだけではない。言い間違えても、途中で考えが変わっても、こちらのペースで相談を続けられる。そこまでできてこそ、声で頼む良さがあると思う。

開発元が公表した比較値とAPI時間料金。日本語の予約会話を試した成功率ではなく、テキスト入力等の別料金もあります。

開発元が公表した比較値とAPI時間料金。日本語の予約会話を試した成功率ではなく、テキスト入力等の別料金もあります。

日本語にも対応。ただし、今回はAPIの更新

公式の音声対話APIの文書には、対応言語として日本語が載っている。音声を受けて音声で返すだけでなく、外部のツールとつないで情報を調べたり、処理を呼び出したりする仕組みも用意されている。

つまり、音声を聞き取って文字にする機能や、文章を読み上げる機能だけの話ではない。会話しながら仕事を進めるアプリを、開発者が作るための仕組みだ。

すでに grok-voice-latest という指定でこのAPIを使っているアプリは、3.0へ自動更新されている。公式リリースノートでは、APIの使い方は変わらないと案内されている。

一方、普段スマホやXでGrokを使っている人が、全員同じ条件で3.0を使えると確認できたわけではない。今回のAPI提供と、各アプリの契約・地域ごとの提供範囲は、分けて見ておきたい。

料金は据え置き。気になるのは日本語での使い心地

音声APIの時間料金は1分0.08米ドル、1時間4.80米ドル。旧2.0から据え置きだ。テキスト入力などの別料金もあるので、アプリ全体の費用がこの時間料金だけで決まるわけではない。公式料金表

今回、RINKAKUでは実際の音声会話を試していない。日本語の聞き取りや言い直しがどれほど滑らかかは、これから確かめたいところだ。

音声AIを試すときは、きれいな声を聞くだけで終わらず、一度、会話の途中で条件を変えてみてほしい。「その日はやっぱり無理だった」「さっきの人数だけ変えたい」。その訂正を受け止め、何度も説明し直さずに済むかどうか。

AIと話すことが楽になるのは、返事が速くなったときだけではない。こちらが言い直しても、ちゃんと話が続くようになったときでもある。