AIに新しいサービスの料金を聞くとき、気になるのは「その情報、いまも合っている?」ということだ。学習した知識だけで答えているなら、すでに終わったプランが混じるかもしれない。
国産の生成AIを開発するPreferred Networks(PFN)は10月27日、PLaMo 3.1 PrimeにWeb検索とDeep Researchを追加した。最新の情報を検索して答えるだけでなく、調べる項目を考え、資料を集め、出典付きのレポートにするところまで任せられるという。ブラウザーで使うPLaMo Chatでは、11月30日まで、Deep Researchを1日2回無料で試せる。PFNの発表
今回、気になったのは調査機能そのものに加えて、新しい調査機能を、社内のサーバーでも動かせることだ。インターネットを調べるAIだけでなく、社外に出せない文書を調べるAIとしても提案されている。
一つの答えを探すか、比較レポートまで頼むか
Web検索とDeep Researchは、どちらも検索を使う。違うのは、どこまで調べてもらうかだ。
たとえば、新しい文字起こしサービスについて「いまの料金はいくら?」と聞く。これは、料金ページなどを参照して答えるWeb検索が向く質問だ。
一方、「日本語のオンライン会議で使う文字起こしサービスを比較して。料金だけでなく、話者の区別、録音データの保存先、削除方法も知りたい」となると、見るべきページは増える。料金表だけでは足りず、機能説明や利用条件も読み比べたい。
このような調査に向けた機能がDeep Researchだ。PFNの説明では、AIが調査計画を立て、検索と情報の整理・分析を繰り返し、出典付きレポートを作る。所要時間の目安は数分から数十分。上の文字起こしサービスの話は使い方を示す説明例で、本誌が実行して得た結果ではない。
便利そうなのは、最初から比較する項目をすべて知っていなくても、調査の下準備を頼めるところだ。ただし、出典が付いていても、そのページが本当に結論を裏付けているとは限らない。契約を決めるなら、料金やデータの扱いはリンク先で確認したい。
Web検索は情報を参照して質問に答え、Deep Researchは計画を立てて検索と整理・分析を繰り返し、出典付きレポートへ進む。文字起こしサービスの質問は説明用の例で、実画面や本誌の検証結果ではない。Web検索の回数を必ず1回に限る図でもない。 出典:PFN(PLaMo 3.1 Prime公式発表、2026年10月27日)
社外に出せない資料も、調べてもらえる?
会社で使うなら、もう一つ壁がある。Webにはない、社内だけの情報だ。
たとえば過去の提案書から、似た案件で何を採用し、どこでつまずいたかを調べたい。しかし、その資料を外部のチャットサービスへ送ってよいとは限らない。
PFNは、企業が自社の設備で動かす「オンプレミス」でもDeep Researchを提供する。社内の文書検索と連携し、社内資料とWeb情報を組み合わせた調査、あるいは外部ネットワークへ接続しない閉域環境で、社内資料だけを調べる構成に対応するという。
後者は、閉じたネットワークのままインターネットまで検索できる、という話ではない。また、各社員が閲覧できる資料の範囲や検索システムとの連携は、導入時に設計する必要がある。企業向けオンプレミスプランは個別見積もりだ。
それでも、「調べ物をAIに任せたい。でも資料を外に出せない」という会社にとっては、検討する理由がはっきりした発表だと思う。モデルの点数だけを競う話より、実際の使い道が見える。
オンプレミスのDeep Researchは、社内文書検索と連携してWebと社内文書を調べる構成と、閉域環境で社内文書だけを調べる構成に対応するという。閉域のまま外部Webを検索できる意味ではなく、PLaMo Chatへ機密資料を送ってよいという意味でもない。閲覧権限・連携は導入時の設計が必要。図は情報境界の概念整理で、実装の詳細図ではない。 出典:PFN(PLaMo 3.1 Prime公式発表、2026年10月27日)
「分からない」と答えるための学習も加えた
調査を何段階も任せるなら、もっともらしい間違いは怖い。最初に読み違えた情報を土台に、長いレポートが組み上がってしまうからだ。
PFNの技術解説で面白いのは、答えを出す力だけでなく、根拠がなければ答えないための学習を説明していることだ。回答に必要な文章を資料から取り除いた問題を作り、情報不足を認めるように学習させたという。引用を付けるための学習も追加した。
これは、誤情報がなくなったという意味ではない。PFNが旧版のPLaMo 3.0 Primeと比べた評価でも、すべての項目が良くなったわけではない。たとえば、時間をかけて考えるモードでは、指定どおりに答える力のスコアが下がった。素早く答えるモードでも、数学・科学・コードをまとめた評価カテゴリは下がっている。検索関連の評価にも固定の文書群を使う条件が含まれ、公開Webでの調査がいつも同じ精度になるとは言えない。
本誌では実サービスの調査品質をまだ検証していない。いま注目したいのは「国産だから正しい」ではなく、何を参照し、分からない部分をどう扱うかまで、開発側が具体的に説明している点だ。
まず試すならChat。APIの無料枠は別の話
個人で感触を確かめるなら、PLaMoの公式サイトからChatを確認できる。Deep Researchの1日2回無料は、2026年11月30日までの期間限定キャンペーン。APIやオンプレミスまで、この条件で無料になるわけではない。
アプリに組み込みたい開発者向けには、別にPLaMo APIのFreeプランが始まった。こちらには利用上限とレート制限がある。Standardプランの公表単価は100万トークン当たり入力60円、出力250円だが、この数字だけで検索を含む調査1件の総額は分からない。利用前に公式のAPI案内で条件を確認しよう。
最初に頼むなら、自分でも正誤を確かめられる調べ物がよさそうだ。気になっているサービスを数社、同じ条件で比較してもらう。知らなかった比較項目が見つかるか。結論から出典へ、無理なくたどれるか。
AIが長い報告書を書けることより、その報告書を読んだ人が、次の判断をしやすくなること。PLaMoの新しい調査機能も、そこで試してみたい。


