会議の録音も、文字起こしもある。なのに、報告書を作ろうとすると、また長い会話を読み返している。

AIで議事録を作れるようになっても、そこで仕事が終わるわけではない。決まったことを探し、相手に渡せる形へ書き直し、いつもの場所へ保存する。その後始末は、意外と残る。

AI録音機「Plaud Note」などを手掛けるPlaudが10月23日に紹介した新版「Plaud Intelligence」は、その先まで引き受けようとしている。録音を調べて答えるだけでなく、会話から資料を作り、外部の仕事用サービスへ渡す機能を加えた。現在は段階的な配信中だ。新版の公式発表

「何が決まった?」と「資料にして」を使い分ける

新版では、AIへ頼む機能「Ask Plaud」が、ChatとWorkに分かれる。

Chatは、録音した内容について質問する使い方だ。「あの会議で何が決まった?」「この話題が出たのはいつ?」と、会話の記録から探してもらう。

Workは、その内容を使って作業を頼む使い方になる。公式の製品概要では、会話から文書やスライドを作る「Artifacts」や、ほかのサービスとつなぐ機能を紹介している。Plaud Intelligenceの製品概要

たとえば、営業の打ち合わせが終わった後なら、こんな頼み方が考えられる。

この会議の内容から、社内向けの報告書を作って。お客さまの要望と、こちらが約束したことを分けて。決まっていない点は、決まっていないと書いて。

これは、仕様をもとにした依頼例で、RINKAKUが実際に生成した結果ではない。

長い会話を短くするのが要約なら、こちらは、読み手に合わせて使える資料へ組み直す仕事だ。録音ファイルを別のAIへ移し、背景から説明し直す手間を減らせるなら、毎回の会議で使う理由になる。

ただし、きれいな報告書になったからといって、内容まで正しいとは限らない。Plaudは、作った文書の記述から、文字起こしの該当時刻へ戻れるとしている。納期や金額、誰が何を引き受けたか。そうした大事な点を、元の発言に戻って確かめられるのはありがたい。

毎回の頼み方を覚えさせ、同じ作業を繰り返す

一度便利だと思っても、毎回長い指示を書くようでは疲れてしまう。

「Skills」は、資料の作り方や書式を、繰り返し使うための機能だ。さらに「Routines」を使えば、時刻やイベントなどをきっかけに作業を動かせる。日本公式の案内でも、録音が終わった後のメモ整理や保存を例に挙げている。SkillsとRoutinesの日本向け案内

「この形式で報告書を作る」を決めておき、会議の後に同じように頼む。そう考えると、機能名よりも使い道が見えてくる。

以前の自動処理「AutoFlow」を使っていた人は注意したい。公式案内では、旧設定は自動で引き継がれず、Routinesで設定し直す必要があるとしている。

外部サービスとの連携先には、SlackやNotion、Google Calendarなどが挙がる。ただし、公式発表は、送信や投稿の前に利用者の確認が必要だと説明している。「自動化できる」は、「利用者が確認しないまま、勝手に送ってよい」という意味ではない。

元の発言と送信内容を確かめる、利用者側の確認例。外部への送信・投稿前には利用者確認が必要だと公式は説明しています。実際のUIや自社実演ではなく、確認方法・頻度などの詳細は未確認。録音処理自体にもクラウドを使います。

元の発言と送信内容を確かめる、利用者側の確認例。外部への送信・投稿前には利用者確認が必要だと公式は説明しています。実際のUIや自社実演ではなく、確認方法・頻度などの詳細は未確認。録音処理自体にもクラウドを使います。 出典:Plaud新版公式発表

「文字起こし無制限」でも、AIの作業は別勘定

今回、使う前に押さえたいのが料金の分かれ方だ。

通常の文字起こしや標準の要約と、新しいAIの作業で使う「Plaud Credits」は別になっている。文字起こしが無制限のプランでも、資料作成などを無制限に頼めるわけではない。Creditsの日本向け公式案内

頼むこと:録音を文字にする・標準の要約を作る
Plaud Credits:使わない。文字起こしの契約枠は別にある

頼むこと:Chatで録音内容について質問する
Plaud Credits:使わない

頼むこと:Workで資料を作る・Routinesを動かす・連携先へ出力する
Plaud Credits:使う。作業の複雑さによって消費量が変わる

ChatとWorkで異なるCreditsの扱い。通常の文字起こし・標準要約と、作業用Creditsは別枠です。公式説明をもとにした編集部の説明図で、実際のUIや自社試用結果ではありません。

ChatとWorkで異なるCreditsの扱い。通常の文字起こし・標準要約と、作業用Creditsは別枠です。公式説明をもとにした編集部の説明図で、実際のUIや自社試用結果ではありません。 出典:Plaud日本公式Credits案内

既存利用者には、アプリ更新時に一度、試用用のCreditsを付与する。有効期限は付与から3か月。使い切っても通常の文字起こしや標準要約は続けられるが、Creditsを使う機能は追加購入まで止まる。Creditsの公式FAQ

報告書1本でいくら使うのか、日本円でいくら追加できるのか。今回確認した案内だけでは、そこまでは分からなかった。手元に機能が届いたら、まずは一つの録音で出力と消費量を見てから、日常の自動処理へ広げるのがよさそうだ。

試すなら、まずは社外へ送らない報告書から

すでにPlaudを使っている人は、まずアプリの更新を確認しよう。日本の公式サイトにも新版の案内はあるが、全利用者への配信完了を示すものではない。自分のアカウントに何が届いているか、確かめてみてほしい。ここで紹介した新機能は、RINKAKUではまだ試用していない。

会議の内容を扱う以上、録音する相手の了解や、会社のデータ持ち出しルールも変わらず大切だ。Plaudは、明示的な同意なしに会話データをモデルの訓練へ使わないと説明している。一方、処理のためにデータはクラウドへ送られる。学習に使われないことと、外へ送られないことは別だ。外部サービスにつなぐなら、何を渡すかも確かめておきたい。公式のデータ保護説明

最初から自動送信まで任せなくてもいい。共有してよい会議の録音から、社内用の報告書を一つ作ってみる。元の発言を探しやすいか。直す手間より、助かる部分が多いか。それで十分、使い続けたいかどうかが見えてくる。

録音を残したのに、結局、聞き直す時間がない。そんな人にとって気になるのは、AIが何分の音声を処理できるかだけではない。会議が終わった後、自分の手元にどこまで使えるものが残るかだ。今回のPlaudは、そこを変えようとしている。